- A. 日本の家庭で見るテレビは、1秒間に30枚の絵を作って電波を使って送受信し、テレビジョン受像器で映し出しています。そしてテレビは一筆書きのように左上から右に、一段下がって左から右という形で1/30秒の間に1枚の画像を作っています(カラー画像の場合は、1/29.97秒)。これを走査(そうさ:scanning)と言います。厳密に言うと、30枚の絵は2つに間引きされた絵を合成して構成されているので、テレビ画面は1秒間に60枚(60フィールド)の絵を作っています。つまり1枚の絵を作るのに半分の画面を二回にわたって送って画面を構成しています。これをインタレース:Interlace = 編み合わせる、と言っています。なぜこのような難しい走査を行っているのでしょう。これには歴史的な伏線があります。テレビ画面(といっても、ブラウン管での話)の走査する状況を想像してみましょう。テレビ画面を作るのは1本の電子ビームで、これを左上から右下に走査して照射ビームのエネルギー密度で画面明るさを決めています。左上の最小の画像スポットと左下の画像スポットでは1/30秒(33.3ms)の時間遅れがでます。通常、蛍光面は電子が当たって明るく光って暗くなるまでの時間(残光時間)は、数ミリ秒から数十ミリ秒です。こうした蛍光剤を使用したテレビ画面では電子ビームが当たっている所だけが明るくなって電子ビームが走り去ると急速に明るさを失って暗くなります。この明るさの変動を1回の走査で抑えるのが難しくて解決策の一つとして2回に分けて画面を走査して画面のチラツキを抑えようとしたわけです。
- このチラツキのことをフリッカーと言います。NTSC方式では1/30秒で電子ビームが上から下まで一筆書きをする場合、上の画面と下の画面で発光している蛍光時間差が減衰時間よりも長いため、画面がチカチカするフリッカーを抑えるため、粗い画面(第1フィールド)を最初に出して2番目(第2フィールド)で仕上げるという方式をとっているのです。これらの取り決めは1950年代にNTSC = National Television System Committeeとして米国で規格化され、カナダ、日本、韓国が採用しました。英国、ドイツなどの欧州はPAL(Phase Alternation by Line)という別の規格を採用しています。NTSCの詳しい説明は、本ページQ23を参照して下さい。
- 一般的なテレビを論ずるときは、放送局から放送電波で送られてくるテレビ信号(放送用テレビ信号)と、8mmビデオカメラなどで録画して再生するビデオ信号の2種類あることに注意して下さい。放送用のテレビ信号は厳しい規格で出来上がっています。これを守らないと映像を受信できなくなってしまいます。放送信号は電波で飛ばすため90MHz以上のRF(Radio Frequency)搬送波信号と呼ばれる基本信号に映像信号を重畳(ちょうじょう = 重ね合わせる)させます。ビデオ信号は電波で空中を飛ばす必要が無く、放送信号に比べれば限られた範囲での使用のため独自の規格を作ることができます。R.G.Bビデオ信号(赤、緑、青の三原色カラー信号を個々に独立して発生するビデオ信号)、ビデオのS-VHS、コンピュータのビデオ信号などはこの一例です。また最近はコンピュータの発達によってコンピュータの独自の規格VGA、SVGAという規格ができたり、デジタルカメラの台頭でDV(Digital Video)フォーマット、BMP(Bit Map)やTIFF(Tagged Image File Format)、JPEGなどの画像フォーマットに直接記録するための読み出し方式も出てきました。
- コンピュータモニタの仕様を見ますとSVGA、75Hz、ノンインターレース方式などという記述があります。これは1280x1024画素を1秒間に75回の割合で一気に描画できる能力をもったモニタであるという性能を示しています。75秒分の1で画面の任意の位置に電子ビームが当たっても人間の目で見て画面全域に渡って濃淡の差がわからないことを表しています。こうした高性能モニターが現れたのはここ1990年代後半のことです。2000年からは液晶モニタが普及しはじめ、パソコンの画面はほとんどと言っていいくらい液晶モニタに変わりました。液晶モニタの恩恵をうけてノートパソコンが普及しました。
- A. 想像してみて下さい。「写ルンです」を買って子供の運動会の写真を撮ろうとします。最近はCCD カメラによるデジカメになるでしょうか。フィルムを巻き上げて撮影ボタンを押す。かけっこの瞬間をできるだけたくさん撮りたいのですが、せいぜい2秒に1回程度の撮影が限界でしょう。Nikon等のような35mmフィルムライカサイズのカメラでは、カメラに電動モータがついていますので少したくさんの連写ができます。これだと1秒間に5枚から8枚の撮影ができます。しかし、これらのカメラでは滑らかな連続画像を得ることは期待できません。
- A. 米国のエジソン、フランスのルミエール兄弟が発明した映画カメラは、1秒間に16枚の撮影を行っていました。この撮影速度は経験的に求めたものです。人間の眼は残像機能を持っていて、フラッシュのような閃光で実験を行うと1/10秒以下のフラッシュ時間では短いか長いかの区別がつかないそうです。どれだけ短いフラッシュでも暗闇で照らされた像は、脳に視覚映像としてしばらくの間記憶しているようなのです。この残像は、はたして網膜に輝度値として残っているのか、はたまた大脳の視覚を司る細胞でメモリされるのかよくわかっていません。いずれにしても映画の撮影速度(当時は撮影速度=映写速度)は人間の残像の視覚特性から経験的に求められました。このぐらいの枚数で撮って同じ速度で映写すれば像が動いて見えるだろう、という具合です。最初は、10コマ/秒で始められた映写速度も、物体の動きが滑らかでないため16コマ/秒に落ち着きました。フィルムの消費量を抑えたいため、撮影速度はできるだけ低く抑えたかったのです。映画フィルムの端に音を入れるようになると16コマ/秒ではどうしても音質が不安定になり、最終的に24コマ/秒に落ち着きました。これが世界標準になりました。従って、「釣りバカ日誌」の映画も、「ターミネータ2」も、最近話題の「タイタニック」、「スターウォーズ Episode1」も24コマ/秒で撮影して映写しています。映画初期の無声映画「チャップリン」は16コマ/秒で撮影していました。映写の24コマ/秒は規格ですが、撮影における24コマ/秒は通常の撮影速度であって、スローモーション映写を目的とした撮影では48〜96コマ/秒で撮影されることが多くあります。
- A. 1秒間に100枚以上撮影できるカメラを「高速度カメラ = ハイスピードカメラ」と呼んでいます。今のところ、20,000,000コマ/秒までの高速度カメラが市販されています。また、CCDシャッタカメラ4ヶを光学的に1つに集めて光軸を同じにし、4台が同じ被写体をとらえられるようにして、少しずつ撮影のタイミングをずらしながら100,000,000コマ/秒までの撮影を行う装置もあります。高速度カメラは、次々に画像を撮影をしなければなりませんから、フィルムであるならフィルムを速く送る機構を考えなければなりません。高速度ビデオカメラなら録画するビデオテープ、撮像するビデオカメラを同期させて速く走査し記録しなければなりません。高速度カメラの歴史的なエピソードは高速度カメラの「歴史背景とトピック」を参照下さい。
- A. たった1枚の写真よりも一度にたくさんの映像を見た方が現象を良く理解できます。たしかに、1枚の決定的瞬間は非常に魅力的な情報を与えてくれますが、それを得るためには数多くの試行錯誤を経て撮影を行わなければならず、努力と忍耐が要求されます。現象を科学的にとらえようとするとき、肉眼では認識し得ない速い動きに数多く出会います。これを理解するためには映像が最も手っ取り早い方法です。写真計測の出発点であった英国の写真家エドワード・マイブリッジの馬の疾駆写真も、人間の目では捉えられなかった4つ足が宙に浮く瞬間をとらえることが目的でした。1/1000秒(1ms)、1/1,000,000秒(1μ秒)で終わってしまう現象も数多くあります。それらの複雑に絡み合った現象を解き明かして行く過程では、高速度カメラは必要不可欠な装置になります。宇宙開発、原子力開発、自動車安全実験、製造ラインでのマシントラブル、スポーツサイエンスなど分野は多岐にわたっています。詳細は、画像計測事始め、歴史背景とトピックを参照して下さい。
- A. カメラレンズをカメラ本体を装着する部位をレンズマウントと呼んでいます。レンズマウントは大きく分けてねじ込み式のスクリューマウントとワンタッチで装着するバヨネットマウントタイプの2種類があります。よく使われているレンズマウントには、
- ・F-マウント(エフ・マウント)
- ・C-マウント(シー・マウント)
- ・ENGマウント(イーエヌジー・マウント)
- ・アリマウント
- 等があります。レンズマウントはいろいろなレンズをカメラに取り付ける際に簡単に装着できるように考え出されたもので、カメラメーカーが主導になって作られました。カメラメーカ間では同じマウントでレンズを作ろうという機運がなかったので、カメラ毎にマウントが作られるという歴史的な経緯をたどっています。したがってレンズマウントはカメラメーカ、レンズメーカーが強い力を持っていた所が生き残っていると考えて良いでしょう。現在、我々の世界では、ニコン(旧日本光学)が開発したF-マウント、16mm映画フィルムカメラ用に開発され産業用テレビカメラ(多くの高速度カメラ)に採用されているCマウント、放送局用のビデオカメラに採用されているENGマウントの3種類を覚えておけば良いでしょう。また、これらのマウントも時代の変遷とともに変更を余儀なくされてきました。
- ■ F マウント
- たとえば、ニコンが開発したFマウントは1959年にニコンFという一眼レフフィルムカメラに採用されました。以後43年が経っています。その間、広角レンズの登場、オートフォーカスの開発とレンズマウントを介してレンズに情報を送ったりもらったりする機構が追加されました。それでもFマウントという規格を守りながら時代の要求に対応したのです。したがってFマウントと言っても差し障りのない範囲で構造が変更されています。
- なぜ我々の高速度カメラ、産業用ビデオカメラでFマウントが使われるのでしょうか? ペンタックスKマウントでも良いでしょうし、キャノンマウントでもミノルタマウントでも、はたまたライカマウントでも良さそうなのに我々はFマウントを良く使います。私が想像するに以下の理由によっているものと考えます。
- 1. 1960年代から交換レンズ用として日本光学(現ニコン)が発売していたレンズは品数が多く、
- 品質も良かった。
- 2. 16mm映画カメラ、高速度カメラを使うユーザは研究者が多く、研究室には多くのニコン
- レンズがあった。
- 3. ニッコールレンズ(Fマウントを装備したニコンレンズ)は、F-Cマウントというアダプタ
- を使ってユーザーが簡単にCマウントレンズに変換して流用することができた。
- 4. 長い間マウント構造を変更しなかったのでユーザが安心して使うことができた。
- ■ C マウント
- Cマウントは16mm映画用レンズとして登場した古い規格のレンズマウントです。マウントはねじ込み式で、ネジの呼び径とピッチがインチサイズになっています。古い古い規格のレンズが現在も生き続け、昨今のデジタルカメラの興隆でますます盛んに作られているレンズです。Cマウントレンズは、ねじ込み口径が1インチ(φ25.4mm)でピッチが1インチあたり32山という規格です。当時、Cマウントの他にもどうもAマウント、Bマウントというのがあったようです。その規格はどのようなものかわかりませんが、Dマウントというのもありました。Dマウントは8mmフィルムカメラ(8mmビデオではない、8mmフィルムカメラ)ように作られたレンズマウントで、口径が5/8インチ(15.875mm)で1インチあたり32山のピッチをもったスクリューマウントです。
- いずれにしても、時代の流れの中でCマウントが生き残った、というわけです。ただ、最近はCCD撮像素子(CMOS撮像素子)サイズが小さくなってCマウントレンズでも撮像素子サイズによって使い分けているレンズが多くなっています。例えば、1インチタイプ用レンズ、2/3インチタイプ用レンズ、1/2インチタイプ用、という具合です。小さいサイズの撮像素子用のレンズで大きい撮像素子を持ったカメラに装着すると撮像面の周辺が写らない(イメージサークルが小さいためにケラレる)という不具合が生じます。
- また、同じCマウントレンズの仲間でもっと小型にレンズを設計するために、フランジバックを短く詰めたCSマウントレンズが登場しました。フランジバックとは、レンズのマウント部の付け根(ここをレンズのフランジという)から撮像素子面までの距離のことを言います。この距離はレンズを無限遠(∞)にした状態で表します。CSマウントレンズは、1/3インチ、1/2インチフォーマットの小型CCDの対応のために生まれたコンパクトなレンズマウントで、ネジ径は1インチで32山とCマウントと同じですが、フランジバックが12.50mmとCマウントレンズより5.026mmほど短くなってます。
- ■ ENG マウント
- ENGマウントとは、放送業界の3CCDカラービデオカメラズームレンズ用に採用されたバヨネットタイプのマウントです。このマウントレンズの特徴は、カメラレンズと撮像素子の間に分光プリズム(ダイクロイックミラー)が入っているため、Cマウントレンズではフランジバックが短く流用できないためフランジバックが長くて、ダイクロイックミラー分光に優れたズームレンズ用に開発されました。ソニーと日本ビクターがそれぞれ独自のバヨネットマウント式ENGマウントを開発しレンズメーカがズームレンズを供給していましたが、近年ではENGマウントと言えばソニーの2/3インチバヨネットマウントレンズをさすようになりました。
- A. デジタルという言葉が使われる根底には、デジタルでないものがあることを意味しています。時計にしても、デジタル時計が製造される以前にはアナログ時計がありました。振り子形式のネジ巻き時計がアナログ時計と言われているものです。もっと古くは日時計、砂時計、水時計があります。デジタル時計は、電子回路によってパルスを発生して時を刻むものです。時計の中に水晶発振子が入っていて水晶の正確な発振パルスで時を刻み、そのカウントを数値表示するものです。音楽録音にしても音声信号の強度を磁性体テープに磁力の強弱に変換させる記録方式をアナログ録音といい、音声の流れを細かく区切って音の強さを数値に置き換えて数値データをそのまま記録する方式をデジタル録音と言います。
- カメラもデジタルカメラの前はデジタルでないカメラがありました。ハロゲン銀を使ったフィルムがデジタルでないカメラでした。テレビで言うなら1/2インチのVHSテープに録画した映像信号がアナログビデオ信号でした。デジタル映像はコンピュータ(デジタル電子技術)の進歩とともに急速に発展します。音声信号のデジタル化は、音の強弱を時間軸に従って細切れ(サンプリング)したように、映像は一枚の画像を細かいメッシュに区切って一つ一つのエレメントで構成するようにしたことです。その一つのエレメントを画素(がそ=pixel、ピクセル)と呼びました。画素は座標位置と濃度(色)情報が数値で決められています。濃度(明るさ)情報は、通常は黒を0とし白を255として8ビットの階調にわけて数値化しています。カラー情報は三原色の明るさをそれぞれ8ビットで割り当てますので総合すると3ビットの3倍の24ビットの色情報lとなります。
- このようにして画像を細かくメッシュ状にわけて数値化することによりデジタルが像を作るようになりました。デジタル画像の大きな特徴は、保存、およびコピーしても画像の劣化がないということです。そしてパソコンでの保存、再生、離れた場所への通信と威力を発揮し、現在(2006年)では画像と言えばデジタル画像をさすことが当たり前のようになりました。仕事で写真を残す際にも家庭でアルバムを作る時もデジカメを使って、CDやDVDにデジタル画像を保存する時代になったのです。
- A. 写真などの画像はみなさんの身近にあるので画像をどのように保存するかはおおよそ理解できると思います。画像ファイルは、幾多の歴史的変遷を経て淘汰され標準化されて来ています。
- デジタル画像が普及する前は、銀塩フィルムカメラによる画像の保存が一般的でした。35mmフィルムカメラや印画紙に焼き付けたもので保存を行っていました。1990年以降、コンピュータの発展とCCDカメラの普及によりデジタル画像が急速に普及しました。
- A. 正直なところ、一般的な用途ではフィルムの利用価値はほとんど無いと言えるでしょう。(銀塩)フィルムの利点よりもデジタルカメラのメリットの方が圧倒的に大きいのです。そのもっとも大きなものは簡便性とリアルタイム性です。研究開発分野では、現像工程が必要なフィルムカメラは決定的な欠点と言えます。デジタルカメラの解像度が400画素程度に上がって来た時点でフィルムカメラの役割が無くなり、カラーで10,000コマ/秒の撮影ができるデジタルカメラが登場した時点がフィルムによる高速度カメラの終焉の時でした。
- 計測分野で(銀塩)フィルムが使われているのは、航空写真です。航空写真は120mmx120mmのフィルムに高精細な地上表面の写真撮影を行います。フライトコストもかかることから、これだけの解像力で一度に写真を撮っていくデジタルカメラはまだありません。解像力を限定した撮影においてはデジタルカメラが使われています。
- このように、現在のところフィルムカメラの利点は電源を必要としないカメラ撮影、ラージフォーマット(画面サイズが大きいフィルム)がフィルムカメラの生き残っている分野と言えます。
- A. デジタル画像で作った映画やコマーシャルを観ていると、なんだってアリです。正直なところ、一般的な用途ではフィルムの利用価値はほとんど無いと言えるでしょう。計測分野でもほとんどデジタルカメラです。
- A. 高速度カメラは、1秒間に100枚以上の撮影ができるカメラを総称しています。高速度カメラは、ハイスピードカメラ、High Speed Camera、高速度ビデオ装置、高速度写真撮影装置などとも呼ばれています。20,000,000コマ/秒の撮影ができるカメラも登場しています。1930年前半から現在までの約70年間に7タイプのカメラ、約60種類の高速度カメラが開発されました。詳細は、歴史背景とトピックを参照して下さい。これらの高速度カメラは、目的に応じて使い分けされています。
- A. 研究開発分野に多く使われています。詳細は、画像計測事始め、歴史背景とトピックを参照して下さい。
- 上図の表は、被写体の速度とその速さがどのくらいの撮影速度を必要としているかの分布図です。斜めの線は撮影倍率を表します。撮影倍率は顕微鏡の倍率とは異なり、被写体の大きさがカメラの撮像面(フィルム面もしくはCCD撮像素子面)にどの程度の大きさで写されるかを示します。ビデオカメラでとらえるときはモニターで映像を見ますから、撮像素子面の像からモニタに映し出されるモニター倍率を掛け合わせる必要があります。
- A. Q04と同じような回答です。高速度カメラを使って解明されたトピックを2、3書き出してみましょう。
- ・リレーのスイッチ挙動 - 3,000コマ/秒、1930年代米国ベル電話機研究所
- ・スポーツ工学 - 走る、打つ、投げる、跳ぶ、重心移動、1870年代〜
- ・エンジン燃焼 - 1,000〜100,000コマ/秒、ノッキング、火炎伝播、着火、
- 青炎・輝炎燃焼1940年代〜
- ・インクジェット - 100,000コマ/秒、液滴の飛翔、着弾、1980年代〜
- ・自動車安全実験 - 500〜1,000コマ/秒、衝突実験、シートベルト、エアバッグ、
- バンパー、1960年代〜
- ・宇宙開発 - 500〜100,000コマ/秒、ロケットエンジン、衛星切り離し、着脱ボルト、
- フェアリング、1950年代〜
- 1998.4月プロ野球が開幕し、読売巨人軍の新人高橋由伸選手の活躍がすばらしく連日マスコミを賑わしています。彼の良さは柔軟なバットコントロールとミート時にトップスピードでのスウィングができることだとされていますが、これらは2台の高速度カメラを使ってバッティングフォームを撮影し、コンピュータによって3次元構築されスウィングスピードが求められています。この手法は、東京大学教育学部 平野祐一助教授らが確立させている計測法で、松井秀喜選手のデータや古いところでは長島茂雄、王貞治両選手のデータもありこれらのデータを比べながら効率よいバットスィングの学術的な研究がなされているようです。
- A. 高速度カメラの性能を見る場合には次の性能要素が上げられます。撮影速度、露出時間、イメージフォーマット、像解像力、使用レンズ、システム感度、電源、寸法、消耗品、使い勝手。
- ・撮影速度: 時間分解能を決める要素です。撮影速度が高いほど速い現象をとらえることができます。
- ・露出時間: 1枚の画像を得るのに必要な要素で、1/撮影速度以下の値を取ります。たとえば1,000コマ/秒の撮影ならば、露出時間は1/1,000秒以下です。短い露出時間ほどシャープな画像が得られます。一般的には撮影間隔の5分の1以下(1,000コマ/秒なら、1/5,000秒以下)が適当な値です。
- ユーザの多くに、上記の撮影速度と露出時間の関係を理解されないケースがよく見受けられます。1枚の画像を得るには撮像面に光を一定量入射させなければなりません。一般のCCDカメラは、30コマ/秒の画像を取り込みその露光時間は、1/30秒です。またCCD素子やMOS素子を使った高速度ビデオカメラの露出時間も通常のビデオカメラと同じで撮影速度の1枚分、つまり1/撮影速度が露出時間となり、電子シャッターやメカニカルシャッターを用いて短時間露光を行っています。
- 映画用のカメラは、24コマ/秒で撮影され、露光時間は、その半分の1/48秒が一般的です。高速度フィルムカメラは撮影間隔の1/5の露光時間(1,000コマ/秒なら1/5,000秒)が一般的です。フィルムを用いたカメラはフィルムを送るメカ的な機構が入っていますからCCDカメラのように全ての時間を露出に割り当てることができません。従って撮影速度の時間の半分や4/5をそうしたフィルムの移送に割り当てているのです。(2001.02.26記)
- ・イメージフォーマット: 像を結ぶ撮像面の大きさです。フィルムの乳剤面やCCDの撮像面の大きさです。基本的にこのイメージフォーマットが大きいほど画質が向上します。ただしCCDカメラのように画素数が決められている場合には、イメージフォーマットは画質には関係なく、光を集める感度に影響します。16mmフィルムカメラで10.2mmx7.4mm、35mmフィルムカメラで24mmx18mm、2/3インチCCDカメラで8.8mmx6.6mmという具合です。
- ・像解像力: 画質の度合いを表します。撮像素子の画素数、フィルムの解像力、レンズ、撮像位置定位、などの総合評価で求まります。ビデオでは画面を何分割できるかというライン数で表します。CCDカメラの画素数(画素、ピクセル)も一つの目安です。フィルム、レンズでは、1mmの中に何本の白黒ラインが解像するかというlp/mm(ラインペア/mm)という表し方を言います。
- ■ 固体撮像素子の解像力
- フィルムは、面の位置に関係なく解像力は保存されますが、CCDカメラなどは撮像面がトンボの複眼のように量子化(ひとつひとつがセルで区切られている)されているため、撮像されるセルの位置によっては入射する像の解像力が相殺されて半分以下になることがあります。たとえば500本の格子状の被写体を500画素のCCD一杯に映すとき、位置によっては(格子が画素の中間に来る場合)2つに1つしか記録できず、また、コントラストも半分に落ちてしまうことが考えられます。
- また、被写体像がCCDの解像力の倍以上になる場合(下の図のCCD画素上で被写体が画素の1/2になる場合)、CCDが受ける情報はグレーになってしまい正しく解像しないケースがでてきます。CCD撮像素子ではこうした不具合を解消するためCCD素子には被写体の高周波成分(細かい被写体)を光学的に除去するフィルタ(光学LPF = Low Pass Filter)が取り付けられていてサンプリング周波数の1/2以上の成分が除去されるようになっていると言われています。このフィルターはCCD素子の前面に張り付けられる人工水晶でできた光学ガラスで水晶の複屈折を利用して高周波成分をカットできると言います。カットする周波数は水晶板の厚さで決まってくるそうです。サンプリング周波数の1/2以上をカットするということは、水平760画素程度のCCDの場合360画素以上の細かな像はカットされてしまうということを意味しています。
- ・使用レンズ: Cマウントレンズ、ニッコールFマウントレンズが一般的です。
- これらの2タイプは種類が豊富です。Cマウントには、口径が同じでコンパクトなCSマウントと呼ばれるレンズもあり、小型CCDサイズに使用されています。
- その他、Pentaxレンズ、Canonレンズ、マミヤレンズ、アリマウントレンズ、Sony ENGマウントレンズ、ビクターENGマウントレンズなどがあります。
- Cマウントは、1インチ径(φ25.4mm)のネジ式で、16mmフィルムカメラから開発されました。10.2x7.4mmの撮像サイズをカバーできるレンズです。記録するイメージサイズが小さいので、35mmスティルカメラレンズよりコンパクトになっています。
- Fマウントレンズは日本光学(現ニコン)が35mmスティルカメラ用に開発したバヨネットマウント(ワンタッチで着脱できるマウント)で24 x 36mmのイメージサイズをカバーできるレンズです。同じイメージサイズをカバーできるレンズにはPentax Kマウント、Canonマウント、ミノルタマウントなどがあります。
- ドイツにもZeiss、ライカなどの最高峰のカメラレンズがありますが、高価なため、全世界の多くの研究機関では、コストパフォーマンスが優れて品揃えの豊富なNikon Fマウントレンズを使用しています。
- レンズの基本的な性能は、屈折力を表す焦点距離、光を集める力を表す口径比(絞り、Fナンバー)、投影する像の大きさを表すイメージサークル、レンズの総合性能である解像力、カメラを取り付けるマウント、大きさ、重さ、フィルターの取り付けネジ寸法などです。
- ビデオカメラの普及とともにビデオカメラ(CCDカメラ)に装着するレンズの種類が増えてきました。CCD素子は小型、高集積化がすすみ、レンズも小さいものが求められるようになりました。また、CCDカメラの高級なものは、CCD撮像素子をRGB(赤、緑、青)の3つ使用しています。この3CCDカメラは、レンズとCCD撮像素子の間にダイクロイックミラーとよぶプリズムがあって、レンズからの光を3つの原色光に分けています。従って、レンズと撮像素子の間の距離が長いので通常のCマウントレンズやニコンFマウントが使用できません。つまりフランジバック(レンズの取り付け面から撮像面までの距離)の長いENGカメラレンズが開発されました。これらのレンズは、開発元のSONYが提案したバヨネットマウント方式が主流になりSONYマウントと呼ばれています。このレンズは、Fujinon、Canonなどのレンズメーカから購入することができます。
- ・システム感度: ISOの相対換算で表したり、被写体最小照度で表したりします。高速度カメラは短時間露光が宿命ですから、この感度が高いほど付帯照明設備がいらず楽な撮影ができます。また、高速度撮影、短時間露光、レンズの絞り込み撮影においても感度の高いカメラは有利です。
- ・電源: 交流か直流か、またどれくらいの消費電力かをチェックします。大型高速度フィルムカメラでは200VAC電源が必要な場合があります。屋外撮影ではDC(バッテリー)駆動は魅力です。
- ・寸法: 実験室のスペースに限りがあるときや頻繁に運搬を余儀なくする際に考慮する項目です。カメラのセッティングなどにもこの寸法はチェックする必要があります。高速度カメラのいくつかはカメラヘッドと記録部/電源部が切り離せるタイプがあるのでこの点についてもチェックする必要があります。
- ・消耗品: 長期にわたり使用するものですから、定期交換部品を含め、どのようなものがあるか確認する必要があります。フィルムカメラですと映画フィルムと現像代、高速度ビデオですとビデオテープなどがこれにあたります。
- ・使い勝手: 最終的には、それぞれの目的に応じてユーザ自ら使い勝手が良いかを判断することになります。高速度カメラは総じて高価なので、投資分を回収するには上記の性能以外に装置に馴染んで有効利用できる使い勝手を評価することが重要です。このほか、カメラを使用する上で、サービス体制、技術支援など総合的な判断も重要です。
- テープ式高速度ビデオは装置は、記録媒体に1/2インチVHSテープを使っていて記録時間がICメモり方式に比べ圧倒的に長いのが特徴です。ICメモリはデジタル記録のため画像劣化のない記録ができる特徴があります。しかし高速で記録する媒体がDRAMであるため、録画した画像は、別の媒体に保存しなければなりません。
- コンピュータのPCIカードに必要な回路を装備してコンピュータに直接画像を取り込む高速度カメラも登場しました。これらのカメラは研究機関や工場のラインの検査用に設置し、高速度画像を直接コンピュータに取り込んでそのままネットワークで希望するクライアントに転送することができ有効利用されています。
- スポーツの競技などでは、待ったなしに競技が進行しますからテープ方式が使われます。1998.2月に行われた長野オリンピックではこのテープ式高速度ビデオが活躍しました。特にスピードスケートでは、次々に選手が走り待ったなしの世界記録が出る記録会ですから長時間録画の性能をいかんなく発揮しました。
- A. 簡単な方法は上の高速度カメラの応用分布図からだいたいの被写体速度と撮影倍率を割り出して、そこから縦軸の撮影速度を求めます。この応用図の基になった計算式は以下の通りです。
- R = (M x V) / (d x 5)
- R: 必要撮影速度 (コマ/秒)
- M: 撮影倍率
- V: 被写体速度(mm/秒)
- d: 許容錯乱円 0.025mm
- 5: 係数
- 上の式は、写真計測から導き出された計算式です。フィルム(銀塩)やレンズの解像力から求められるボケの許容値である許容錯乱円が基礎になっています。被写体がフィルム上でどれだけ移動しても良いかをこの許容錯乱円に当てはめ露光時間 T(秒)を割り出してその5倍の時間間隔を撮影速度としました。当時、一般的な高速度カメラの露出時間と撮影速度はメカニカルに決められ5分の1であったため(これをシャッタ定数5と呼ぶ)係数5を加味して撮影速度を求めたのです。
- 許容錯乱円は、もともとフィルム画像を拡大してみたとき人間がボケと認識しない値として経験的に求められた値で、16mmフィルムでは0.025mm、35mmフィルムでは0.05mmとして使われてきました。この式をもとに撮影をすると被写体が水平方向に推移すると、16mmフィルムカメラでは約80枚にわたって撮影できます。
- 映像計測の観点からは、必ずしも80枚分の画像は必要なく、直線運動であるならば20枚程度で十分にその挙動を把握することができます。ただし、撮影速度を落とすと必然的に露出時間が長くなり像がボケますから、露出時間は十分に短く取る必要があります。
- ビデオカメラでは、素子が一つ一つセル(ピクセル=画素)で囲まれているため許容錯乱円はもはやあまり意味をなさなくなっています。被写体像の露出時間内での移動が1ピクセル以内に入れば必要条件を満たしていますが、像が2ピクセルにまたがって撮像されるおそれがあります。その確率は100%に近いものなので、これを避けるためには、露出時間を撮像素子1ピクセルの1/5程度(セル間をまたがる確率は20%になる)に抑える必要があります。
- T = s / {5 x m x (M x V) }
- T: 必要撮露出時間 (秒)
- s: 撮像素子のイメージサイズ(水平) (mm)
- m: 画素数(水平)
- M: 撮影倍率
- V: 被写体速度(mm/秒)
- この式は、露出時間設定に関する限りフィルムよりも固体撮像素子の方がシビアに短時間露光を決めなければならないことを示しています。一般的にはフィルム撮影より2.5倍短い露光時間を与える必要があります。
- つまり、フィルムは、CCDの画素のようにとびとびの情報を記録する訳ではないので、記録媒体の量子化(デジタル化)によるボケを配慮する必要がありません。
- 被写体のおおよその速度がわかってもその被写体が微妙な運動をするとき、その微妙な挙動をとらえるには、その運動の振動数の10倍程度の撮影速度が必要になります。たとえば、弾丸の飛翔を撮影する場合、水平移動を20分割以上にわたって撮影でき、弾の回転を10分割、ピッチング周期の10倍以上の撮影速度を選ぶ必要があります。こうした被写体の運動条件を十分に加味して、必要で且つ十分な撮影速度、露出時間を設定します。
- A. カメラの種類によって使用されている撮像素子、イメージサイズが違います。イメージサイズは、撮影倍率を求めるとき、レンズがカバーする被写体エリアを求めるときに必要になります。
- 一般のCCDカメラ:8.8mm x 6.6mm(2/3インチサイズ)
- 1インチCCD:12.7mm x 9.6mm、
- 1/2インチCCD:6.4mm x 4.8mm、
- 1/3インチCCD:4.8mm x 3.6mm
- 1/4インチCCD:3.69mm x 2.77mm
- 1/5インチCCD:2.95mm x 2.21mm
- 高速度ビデオ Redlake MASD HG100K: 18.05mm x 13.5mm
- 高速度ビデオ Redlake MASD HG2000: 8.92mm x 6.144mm
- 高速度ビデオ Redlake MASD MotionScope: 2.22mm x 1.65mm
- 高速度ビデオ MEMRECAM Ci: 5.6mm x 4.3mm
- 高速度ビデオ HSV-500C3: 4.9mm x 3.6mm
- 高速度ビデオ Fastcam Ultima 40K(Kodak HS4540): 10.24mm x 10.24mm
- イメージコンバータカメラ ウルトラナック: 18mm x 15mm
- 16mmフィルム(ナックE-10、STALEX WS-3、Photosonics 16-1PL, 16-1B): 10.2mm x 7.4mm
- 35mmフィルムカメラ(Photosonics 35-4ML、ARRI ARRITECHNO): 24mm x 18mm
- A. 固体撮像素子をインチで呼ぶ慣習は歴史的なものです。テレビカメラはCCDなどの固体撮像素子を使う前はブラウン管のような真空管の撮像管と呼ばれるものを使用していました。この撮像管のサイズをその撮像管の径で呼んでいた時代が長く続き、1インチ管、2/3インチ管、1/2インチ管と呼んでいたのです。その呼び名が固体撮像素子の時代になってもそのまま受け継がれたいう次第です。1インチCCDは、そのCCDの有効サイズが1インチ撮像管の撮像サイズに近似しているために便宜的に呼ばれているにすぎません。
- ちなみに1インチは25.4mmで、1インチサイズのCCDの対角線は16mmであり、この両者は似ても似つかない数字になっています。これは、1インチ撮像管の光電面が完全な平面ではなく(ブラウン管を思い浮かべて下さい、曲面になっていますよね。最近はフラット画面になりましたが。)、この光電面いっぱいに像を受光すると歪みとか周辺解像力の劣化などがありとても使い物にならないため口径の中の良好な光学特性が得られるところだけを選んで撮像してました。そのサイズは偏向コイルによって微調整していたためCCDのように幾何学的にかっちりしたものではありませんでした。ある意味CCD固体素子は撮像管に比べて幾何学的な歪みがないため計測分野では良好な性能を持った撮像素子と言えました。
- ちなみに、1インチ、2/3インチ、1/2インチ、1/3インチなどの呼び方は慣れれば言いやすく素子の大きさや使用するレンズを選ぶ時に便利なために、撮像素子が主流になった今日においても他の適当な呼び方がなく浸透してしまったというのが現状のようです。
- A. ビデオテープレコーダ、8mmビデオ、デジタルビデオ、デジカメ(デジタルスティルカメラ)の台頭で銀塩フィルムの存在が薄れてきました。面白いことに米国ではまだフィルムカメラにより写真計測が盛んです。
- 詳細は、「光と光の記録 - CCDs vs. Film for Fast-Frame Impact Testing」を参照下さい。
- 一般的なフィルムは、Fujiフィルム(日本)、コダック(米国)、AGFA(ドイツ)、ILFORD(英国)、3M(米国)、コニカ(日本)が製造しています。
- 1990年(9年前)、イギリスに行った時、町のスーパーでイタリア製のフィルム(名前は忘れました)を見てビックリしたことがあります。16年前にアメリカ東部のフォトショップでFujiフィルムを見たときもびっくりしました。現在ではFujiとコダックが市場を席巻しています。映画フィルムに関してはハリウッドを抱えるコダックが圧倒的に強い立場にあります。高速度カメラ用のフィルムは、コダックが標準フィルムとして使わてきました。20年前よりFujiが高感度の16mmフィルムを提供するようになり日本ではFujiの16mmフィルムを使用するケースが多くなりました。日本国内では16mm高速度カメラが3,000台程度あり、10%〜20%程度が稼働しています。これらのお客様は、現像行程と運用費用を節約するため白黒フィルムを使うことが多いのですが、コダックがISO400の高感度フィルムの製造を中止してしまいました。
- 日本で使用できる16mmフィルムは以下のようなものがあります。
- ・カラーリバーサルフィルム(ディライト):フジカラーリバーサル RD-500
- ・カラーネガティブフィルム(タングステン):フジカラーネガティブ F-500
- ・白黒ネガティブフィルム: HS-500(フジフィルムによるOEM供給)
- ヨーロッパの自動車安全実験などで使われる高速度カメラ用フィルムはカラーネガが圧倒的に多いそうです。リバーサルフィルムの現像を行うラボが減少し、フィルム供給も困難になっているためカラーネガフィルムを使っているそうです。カラーネガの良さは、濃度階調(ラチチュード)が広く露出設定が容易、増感現像が楽、現像処理がリバーサルフィルムより楽、などが挙げられます。ただし、現像したフィルム画像は反転画像なのでフィルムプロジェクタにテレビカメラを取り付け反転処理してビデオ信号に変換する「テレシネ」処理するか、フィルムプリント処理する必要があります。
- A. 高速度カメラに関わらずカメラ撮影には光が非常に重要な役割を果たします。光を如何に自由に操るかが現象から画像を抽出する上で大事になります。岩波新書『映画キャメラマンの世界』(渡辺浩 著、岩波新書250、1992.10.20)の中にもライティングについてかなりのページを割いて説明がされています。また、このホームページでも「光と光の記録」で光源についての説明がなされています。
- 高速度カメラでは、通常の撮影では及びもつかないような強い光が必要です。通常のカメラは、1/60秒から1/500秒の露出時間で事足りますが(ビデオの場合は、1/30秒)、高速度カメラは、その100分の1から1000分の1の短時間露光をしなければならないため光量も100倍から1000倍必要になります。
- 一般に撮影に必要な光量は、以下の式で求まります。
- E = 235 x (1+M)2 x F2 / (T x ASA)
- E:撮影に必要な被写体照度(ルクス)
- M:撮影倍率 (M = 撮像素子面上のイメージサイズ / 被写体の大きさ)
- F:カメラレンズ絞り
- T:撮影露出時間(秒)
- ASA:フィルム感度(ISO = ASA)
この式は、Mの値が大きいほど必要照度が高い(明るい被写体)ことを表しています。Mの値が大きいとは撮影倍率が高いことですから顕微鏡撮影などの小さな被写体を拡大して撮影することを意味します。また、Fの値が大きいほど高い照度が必要です。これは、カメラのレンズを絞れば絞るほど光を強くしなければなりません。逆にTの値が大きいほど必要照度は小さくてすみます。Tの値は露出時間ですから、露出時間が長いほど暗い被写体で良いことになります。ASAは、フィルム感度(ビデオカメラでは撮像素子感度)を表し、この値が大きいほど高感度になりますから被写体照度は小さくてすみます。これらのパラメータで必要照度がきまり、235という係数はフィルム感度値との関連から実験的に求められた値です。映画カメラマンの中にはこの値を200としたり250としたりしていますが、我々は235として使用しています。
- 右の表は、上の照度計算式を両対数グラフに表したものです。
- 自然の太陽光は一番明るい時で、100,000〜150,000ルクス程度ですから、このグラフを見る限り1/1,000秒(1ms)〜1/100,000秒(10us)の露出が限界であることがわかります。
- 以下に代表的な高速度カメラの必要照度を表します。CCDカメラ開発設計者は、ASA感度になじみが無く定義そのものもCCD撮像素子とは違うため、CCDの感度表現にISO=ASAを使うのを嫌がる傾向があります。CCDのカタログにもCCD撮像面での照度という記載になっています。しかし、日常的にISO=ASAはなじみが深く感覚的に明るさの程度が把握できるためここでは敢えてISO換算を用います。
- ちなみにASAは、アメリカの規格でAmerican Standard Associationの略です。これはANSI(アメリカ国家規格局)の前身の組織で古い時代に写真感光材料の光に対する感度が決められたためその言葉が残っているわけです。写真感度は、日本ではJIS、ドイツではDIN、イギリスではBSI感度、ソビエトではGOSTが使われていました。最近はフランスに本部におくメトリック(MKS単位)のISO(International Society of Organization)が一般になって、フィルム感度もISO表示になっています。
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- A. 露出計にはEVと呼ばれる露出指数が表示されています。値はEV1からEV17までが標準です。これはExposure Valueと呼ばれており、シャッタ露出時間とレンズ絞りの2つのパラメータで決まるものです。LV(Light Value)とも呼ばれていますが値の意味は同じです。多くのカメラマンはEVの値によって露光条件を瞬時に決め、照度をルクスなどで言わずEV値で言うことが多いようです。EVは露出時間とレンズ絞りで求まり以下の式で表されます。
- EV = log2 (F2/T)
- EV:Exposure Value ( = Light Value)
- F:レンズ絞り
- T:露出時間(秒)
- このEV値は、絞り(F)と露光時間(T)だけで決まる値であり、撮像素子の感度には関係していません。我々の感覚としてフィルムを用いた場合、ISO100が標準的な感度とみなすことが多いので、フィルム感度ISO100の時の値をEV100としたり単にEV値で言うことがあります。上の式の意味合いはEV値が1つ増えるごとに明るさは倍にになり、1絞り分もしくは露出時間が2倍になったと同じことになります。
- 上の式を表にすると以下のようになります。
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- 上の表に示した値は、我々映画関係のカメラマンが経験的に用いている表です。
- APEXという規格単位ではこれとは違う値を採用しているようですがほんの少しデータに相違があるだけです。これはAPEXが採用した輝度を求める時の定数と我々が、「Q108. 高速度撮影にはどれだけの光量が必要なの?」で採用した必要照度計算の係数235と若干の違いがあるためと思われます。APEXの単位系については「Q110. APEX規格の単位 EV、SV、BVって何?」を参照してください。
- また、上の表は、使用するフィルム感度をISO100として求めらた値です。従って高感度のフィルムを使う場合は値が変わってきます。
- ISO200のフィルムを使う場合は、露出計などで測定されたEV値(上記のEV100値)から1足したEV値の右欄の露光条件が最適値になります。ISO400ではEV100値に2を足した値となります。
- EVISO = EV100 + EVISO/100 = log2 [ F2/ T ]+ log2 [ISO/ 100]
- EVISO:Exposure Value ( = Light Value) 使用するフィルム感度ISOでの換算露光値
- EV100:Exposure Value ( = Light Value) フィルム感度100での露光値
- EVISO/100:Exposure Value ( = Light Value) フィルム感度100と使用するフィルムの換算露光値
- F:レンズ絞り
- T:露出時間(秒)
- ISO:フィルム感度
- EV9の値は、通常のオフィスでの机の照度1,300ルクスで、ISO100のフィルムで1/8秒、F8というゴロのいい値になっています。
- また、EV16が照度166,000ルクスとなり、これは真夏の屋外での最も明るい時で、この場合には、1/250秒、F16の露光を表しています。
- これらの値を頭に入れておけば、とっさの撮影にも大まかなセッティングで撮影ができます。
- 上記の、光の単位については、『光と光の記録』を参考にして下さい。
- A. Q109にあるEV(Exposure Value)のトピックに触れ、2002.09.12にMさんからEVと感度ISO100での照度の値が違うのではないか?という指摘を受けました。
- Mさんのご指摘によると、EV値(Exposure Value)は、フィルム感度を示すSV(Film Speed Value)と被写体輝度を示すBV(Brightness Value)との和で示され、その輝度値をQ109にある換算表で見ると若干違う、というものでした。ご指摘の件を私なりに調べこの項目で追加しました。
- Mさんから紹介を受けたSVとBVという定義は、APEXという単位として扱われてるもので、近年の電子化されたカメラの露光プログラムを構築する際に非常に便利な考え方として採用されています。APEXシステムは、撮影に必要な要素(レンズ絞り、露出時間、撮像素子感度、被写体輝度)を同じ次元の単位としてAPEX単位に変換し、変換された撮影要素は単純に加減算処理だけで最適値を割り出せるというものです。このシステムがデジタルカメラの標準画像フォーマット(Exif = Exchangable Image File、JPEG画像ファイルに必要な撮影データを入れ込んだデジタルカメラ用画像フォーマット)に採用されています。APEXとはAdditive System of Photographic Exposureの略で写真撮影のための換算システム規格です。35mmスティルカメラ(ライカサイズカメラ)が電子化され測光機能がカメラに内蔵されるようになった1970年代から露出処理を簡単に出来るシステムとして普及し、カメラ内蔵の測光プログラムに使われたと想像しています。(なぜなら1970年以前の写真関連書物にはAPEXの説明がないからです。APEXシステムは1960年代にドイツで開発されたようです。)
- APEXは、以下の関係式で表します。
- EV = SV + BV = AV + TV
- EV: Exposure Value ( = Light Value)
- SV: Film Speed Value、ISO感度をAPEX単位に換算したもの。
- SV = log2 (ISO/3.125)
- BV: Brightness Value、被写体輝度をAPEX単位に換算したもの。
- BV = log2 (B/N*K)
- B: cd/cm2
- N、K: 定数
- AV: Aperture Value、レンズ絞りをAPEX単位に換算したもの。
- AV = 2log2 (F)
- F: レンズ絞り
- TV: Shutter Speed Value、露光時間をAPEX単位に換算したもの。
- TV = -log2 (T)
- T: 露出時間(秒)
- これを表にすると以下のようになります。
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